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フリーラジカル(活性酸素)とグルタチオン

執筆者の写真: offaincoffainc

人間の細胞は原子からできており、原子核の周りを電子が飛び回っています。フリーラジカルとは安定していない電子を持っているために、他の安定している分子から無理やり電子を奪い取ろうとする原子や分子のことで、電子を取られてしまった原子や分子は酸化された状態と呼ばれます。酸化された分子を持つ細胞はダメージを受け、ひどい場合には死んでしまいます(急性薬物中毒)。実際白血球は、ウィルスやバクテリアを攻撃するときにフリーラジカルを放出してそれらにダメージを与え死滅させます。


フリーラジカルは様々な病気や老化を加速する原因であると証明されています。


このフリーラジカルですが、発生源は体外から入ってくるもの空気汚染、排ガス、タバコ、紫外線、放射性物質、自らの呼吸活動で生産します。更にトランス脂肪、食品添加物、化学調味料、加熱しすぎた食品、医薬品、重金属、農薬、など胃腸から入ってくる物、もう一つは私達の細胞の中にはミトコンドリアと呼ばれる器官があり燃料(糖、脂肪、タンパク質)と酸素を燃やしエネルギーを生産していますが、代謝の副産物として排気ガスのように酸素からフリーラジカルを発生させてしまいます。呼吸で取り入れた酸素の1-5%がフリーラジカルに成ってしまいます。特に過度な運動時には多量のフリーラジカルが発生します。


このフリーラジカルを無毒化するものを抗酸化物質と呼びます。代表的なもがビタミンA、C、E、亜鉛、セレニウム、植物由来のバイオフラボノイド、ポリフェノールなどになります。これらの栄養素はフリーラジカルを軽減するのに非常に有効ですが、もっと重要なのは体内で生産される抗酸化物質です。そのひとつがグルタチオンです。


グルタチオンは他の抗酸化物質と違い脂溶性、水溶性両方の特徴を持つことから全ての細胞で活動できます。またフリーラジカルの最大の発生源であるミトコンドリア内でも抗酸化能力を発揮する事ができます。また他の抗酸化物質とも密接に働き合います。例えばビタミンCは一度フリーラジカルを解毒すると働きを失いますが、グルタチオンはビタミンCの働きを復活させることができます。逆に抗酸化能力を失ったグルタチオンはビタミンEにより働きを取り戻すことができます。


この他にもグルタチオンは様々な毒物と結合し無毒化し体外に排出する能力もあります。ここで毒物と書きましたが猛毒という意味ではありません。いわゆる薬や化学物質、重金属がこの毒物に当てはまります。これらの毒物は油に溶ける性質があり、そのほとんどが細胞膜、核膜、ミトコンドリア膜に付着します。特に水銀はミトコンドリア膜に蓄積する傾向があります。そして水銀はフリーラジカルを大量に発生させます。厄介なのがこの油に溶ける性質です。油に溶けるイコール体に蓄積して排泄されにくいと考えてください。ですから水銀などは長期間に渡ってフリーラジカルを発生し続け、ミトコンドリアにダメージを与えます。ミトコンドリアがダメージを受けますとエネルギーの生産が低下しますので、その細胞の生命力が低下します。グルタチオンはこれらの油に溶ける毒物と結合して水に溶けるようにします。水に溶けることでこの毒物は腎臓や肝臓から体外に排泄されます。環境がどんどん汚染されてきていますので我々の体に入ってくる毒素の種類、量も増加してきています。ですからグルタチオンの働きが益々重要になります。


グルタチオンはフリーラジカルを抗酸化することで働きを失いますがリサイクルが可能な優秀な抗酸化物質です。しかしこのリサイクルが素早く行われないと細胞の外へ排出されてしまいます。ですからフリーラジカルが大量に発生するような状況ですとリサイクルが間に合わなくなりグルタチオンは枯渇してしまいます。また毒素と結合して体外に排出されてしまいますと、もちろん再利用ができなくなります。


グルタチオンは神経細胞を除いた全ての細胞で生産されますが、その生産は十分でありません。肝臓は他の細胞の7倍ものグルタチオンを製造することができ、グルタチオンが足りていない細胞に融通してあげることができます。ただし肝臓自体が薬や化学物質の解毒に忙しい時には他の細胞に融通を利かすことができなくなり、体全体のグルタチオンは不足する傾向にあります。ですから体に毒素が蓄積している状態で薬を常用していたり、感染症にかかると体内のフリーラジカルの発生量は格段に跳ね上がり、グルタチオンは一気に枯渇してしまいます。


グルタチオンが減少するとまず免疫反応に異常が起こります。そして慢性的な炎症が起きるようになります。


グルタチオンの減少と関連のある病気に動脈硬化、心臓病、脳梗塞、糖尿病、肝臓病、ウィルスの感染症、自閉症、パーキンソン病、アルツハイマー、嚢胞性繊維症、があります。

前述のように水銀は大量にフリーラジカルを発生させグルタチオンが減少させます。そして水銀は脳の発達や注意力に重要なメチオニンの生産を50%ブロックしていまいます。これが自閉症の原因の一つではないかと最近では疑われています。最近の自閉症患者数の急増と環境汚染の悪化とは比例しています。


喘息ではグルタチオンの吸引を行なうことで呼吸困難の予防、改善が行えます。


ウィルスはグルタチオンの濃度が高くなると増殖できなくなります。実際慢性的なウィルスの感染症にはグルタチオンの点滴が有効な治療法の一つです。


パーキンソン病ではグルタチオンの濃度が大脳の黒質と呼ばれる部位で減少すること、またドーパミンが酸化されることによりドーパミンの活性が低下することで引き起こされます。パーキンソン病にグルタチオンを点滴治療をすると劇的に症状が改善する治験や研究が幾つもされています。


グルタチオンは体内でグルタミン、システイン、グリシンの3つのアミノ酸から生産されます。システインは他のアミノ酸のメチオニンから生産され、卵の黄身や乳清に多く含まれています。グルタミンは肉や高タンパクの食品に広く含まれます。グリシンは他のアミノ酸のセリンから生産され、タンパク質全般に含まれています。


グルタチオンのサプリメントは市場に多く出回っていますが、残念ながらサプリメントはあまり有効ではありません。その原因はグルタチオンがアミノ酸から出来ていることから胃腸で分解され易く、また吸収されても細胞内にとり込みづらいからです。 実際治験や研究で使用されるグルタチオンは点滴治療によるものです。


体内の毒素やフリーラジカルの発生が高まることでグルタチオンは枯渇してしましますので、タバコや薬、化学物質の摂取を制限する、毎日の食生活に気を付け、バイオフラボノイドを多く含む野菜やフルーツを沢山食べる、溜まった毒素を排出するデトックスを行うことでグルタチオンを増やす。

 
 
 

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